はんぶんの内側

隙間産業的おたく活動記録 長文用

2015年 アイドル短歌まとめ

大遅刻2015年のアイドル短歌まとめ
本当は年越し前に書くつもりだったんだ……

Twitterに呟いたものも、呟いてないものもあります。

  • どれくらい跳べば世界に触れるの ミラーボールの空は眩しい  #大橋和也

  • この足が動くかぎりは見つからない 叶わないままの約束の場所  #林真鳥

  • 地平線に紙の夕陽を押し込んで 背骨を焼いた夢の残り香  #金内柊真

  • 取れた釦、チューインガムの銀の紙、どれを棄てても壊れる気がして  #永瀬廉

  • いらっしゃい!こちらの船の行き先は、オーバーザレインボー!なんて、照れるね  #ジャニーズWESTデビュー1周年

  • みずたまり蹴散らし走るおとこのこ からだの中に雨を飼ってる  #ジャニーズ銀座2015 J公演

  • 「めいっぱい漕いだら空も飛ぶかもね」おんぼろ自転車(籠に花束)  #ジャニーズ銀座2015 They武道

  • ほんとうは捨てるのがこわいので なくしたことにしてるものもあります  #岸優太

  • 天鵞絨の天幕、星ふる繭のなか夢みる背中さいて羽化せよ  #ガムシャラ!サマーステーション 特別公演


  • 振り絞るオレンジの雫涙まで飲み干してなお夏は終わらない  #ガムシャラ!サマーステーション

  • この音を手に入れられたら世界さえ掴める気がした、永遠の夏  #ガムシャラ!サマーステーション

  • 真っ白なスポットライトに背を焼かれたてがみゆらす きみはライオン  #少年たち2015

  • 銃口はずっと前から見えていた ゆめに撃たれておれは死ぬのだ  #池田優

  • 柔らかいのいっぱいもってるから、ええで、欲しいぶんだけ全部あげるわ #小瀧望

  • 恋と夢 未来と過去と笑顔と涙ぜんぶちょうだいさもなきゃ殺して  #田口淳之介

  • トリガーがぬるくなるまで待たないで殺してくれればよかったのに  #田口淳之介

正月の現場ラッシュが落ち着いたら自己満足でしかない解説を書こうと思っています。


アイドル歌会に参加してみたこと

アイドル歌会(@itnk31)さんに提出した短歌のまとめです。


第1回アイドル歌会  テーマ詠「自担」


  • 抱きしめる腕の強さも知らないで祈りのような恋をしている
  • のどぶえに魔法の杖を突きつけて「恋せよ乙女」黒目がひかる
  • 指先の温度も教えてくれないで恋の歌ばかり歌うから嫌い
  • 笑えとかこっち見てとか、ぺらぺらの欲望ばっかでごめんね、大好き


第2回アイドル歌会  テーマ詠「小瀧望


  • ももいろの朝日に急かされ明日の朝この町発つまでおやすみベイビー
  • 神妙な顔してパスタを巻くきみのほっぺのにきび 私の所為かな
  • いちごジャム生クリームとカスタードまあるく混ぜてきみがすきだよ


第4回アイドル歌会  テーマ詠「玉森裕太


  • 噛み砕いた飴の欠片を投げ付けて祈ってるのね 刺され、刺され、刺され

「KAT-TUN」に短歌を詠んでみたこと

短歌結社「明星」の第十二回歌会に参加させていただきました。今回のお題は「KAT-TUN」です。


今回私が提出したのは以下の三首でした。

レーザーを貫く黒目が実弾でないならあなたさえいらない

コンサートの演出といえば緑のレーザー。交差して乱舞するレーザービームよりも、その隙間からのぞく彼らの瞳の圧倒的な力が、私たちを撃ち抜くのですよね。

海賊旗王冠銀色の弾丸 あなたを縁取るレースとフリル

KAT-TUNと聞いて連想されるモチーフ。彼らのコンサートってステージも衣装もデコラティブですごく「視覚」の要素が大きいような気がします。ありとあらゆる装飾が一体となって彼らを飾りたてる、夢のような、悪夢のような。

爪と牙たてがみだってくれてやる人の形で吠えろ猛獣

4人になった今のKAT-TUNは、見た感じなんとなくまるくなったようなイメージですが、武器を全て捨て去って人の形になったところで、猛獣としての本性がよりくっきりと浮かび上がってくるものではないかな、と。


私は、KAT-TUNについてはChainツアーの東京ドームを最後に行っていなくて茶の間なんですが、あのしっかりと作り込んだ世界観のコンサートは本当に強烈に脳を揺さぶります。NO MORE PAINの衝撃といったら…!


「明星」をきっかけに、短歌を詠むことの面白さを知って、色々な方と新しく関わることが出来て、本当に楽しい活動でした。主催のこみねさん、参加者の皆さん、いつも本当にありがとうございます。
短歌結社「明星」はしばらくお休みになるそうですが、また、歌会が出来る機会を楽しみにしています。

「中島健人」さんに短歌を詠んでみたこと

短歌結社「明星」の第九回歌会に参加させていただきました。今回のお題は「中島健人」さんです。


今回私が提出した短歌はこの2首です。

てのひらに薔薇のかたちの角砂糖ほろりと甘い「おひとつ如何?」 

健人さんに対して理由もなく「恋のおまじない」というイメージを持っていて、恋のおまじないの表現として「薔薇の形の角砂糖」を使いました。
講評をいただいて、もしかして…ジェネレーションギャップ…!と思った昭和生まれです。薔薇の形の角砂糖って最近見ないねそういえば…昔よく結婚式の引き出物に入ってたアレ…ピンクと白のやつ……(´;ω;`)パンプキン・パイとシナモン・ティーにバラの形の角砂糖ふたつ、っていう有名な歌が昔あってね…


降り注ぐ涙の数と同じだけ好きって言うから笑ってよ、ねぇ 

いつもスーパーアイドルでいる健人さんの、キツイ現状とたぶん隠された涙と、それからそれを勘ぐって泣く私たちの涙も、まとめて彼に降り注ぐ涙で、健人さんの中には「ありがとう」「大丈夫」「わかってるよ」みたいな言葉と同位で「好き」とか「愛してる」も並んでいて、曖昧な言葉のかわりに全部の意味をのせて「好き」や「愛してる」を投げてきているのかな、と思いました。 


健人さんについて短歌を詠もうと改めて考えた時に、ふと、健人さんは少女のときめきを食べて生きている生き物かもしれない、だからあんなに呼吸するように愛を投げるのかな、それが生命活動として当たり前のことだから、という考えがよぎって、けれどどうしてもそれを短歌に出来なかったのが心残りだったので、ここに書いておきます。 

きっと歌会にもあまくてキラキラした短歌がいっぱいだろうな、と思っていましたが、やっぱりその通りで、ふわふわした気持ちになります。
このなんともいえないあまい高揚感が中島健人という人、そしてたぶんアイドルの本質なのかもしれないですね。

私が個人的に好きだなーと感じた短歌。

  • 祝福も野次もすべてを花びらに変えて駆け抜け背中でピース
  • でかい声出しちゃいけないけどてめぇいい加減にしセクシーローズ
  • 地獄より真っ赤なルージュが怖いから、何億回も恋に落とすよ


さて、次回のお題は「シンメ」といううことで、これもジャニーズならではの文化ですよね。切ない短歌が集まりそうだなぁ。

「舞台」で短歌を読んでみたこと

短歌結社「明星」の第八回歌会に参加させていただきました。今回のお題は「舞台」です。


今回私が提出した短歌は、以下のとおりです。

切り取った過去も未来もない夜を硝子の靴で踊って死ぬまで
舞台の上の時間は、その作品の中のぶんだけでその前もその後も無くて、1回の公演が終わったらまた作品の冒頭に時間が巻き戻るのが、オルゴールみたいだなあと思ったので、オルゴールの上でくるくる回る人形のイメージでよみました。語感から硝子の靴にしたのですが、確かに詰めが甘かったなぁ、と思います。

笑ってよ、周回遅れの三方礼 探していたのはまだここに無い星
カーテンコールで三方礼をする時、座長から端役まで全ての出演者が一列に並ぶけれど、同じラインに立っているのに隣の出演者との間には圧倒的な差があって、それを埋めたくて必死に走ってもきっと隣の出演者も必死に走っているから、永遠に周回遅れのようだなと思います。それでも走り続ける姿を見るために、私達は劇場へ行くのだけれど。

プラスチックのナイフで胸を貫いて喉が裂けても叫べよにげるな
図書委員育ちの強火SHOCK担なので、舞台という単語を聞いて、まず頭に浮かぶのはEndless SHOCKです。
「俺たちはひとつ傷つけばひとつ表現が見つかる  ひとつ苦しめばまたひとつ表現が作れる  ぼろぼろになる
そのぶんだけ、輝けるんだぞ」
という、名台詞からのインスピレーションです。

いらっしゃい!久しぶりだね、調子どう?今日は何処まで一緒に行こう

背もたれの波間に浮かぶ掌を掠めて刺さるスポットライト
「舞台」というお題から、真っ先にぽっ、と出来た短歌がこの二首でした。あまりにもそのまんまなのでボツにしようかと思ったのですが、着想の原点ということで、せっかくなので提出しました。

 
第六回からしばらく、推敲不足で、もやもやしたまま提出しています……。

長文を書くのも苦手なので、このエントリを書くのに頭を悩ませているうちに、次のお題「中島健人」さんの〆切になってしまいました。二首提出しましたので、またわくわくそわそわしながら講評を待っています。

阿部顕嵐くんに短歌を詠んでみたこと

短歌結社「明星」の第七回歌会に参加させていただきました。今回のお題は「阿部顕嵐」さんです。


短歌結社「明星」第七回歌会 お題:「阿部顕嵐」 - こみねもすなるだいありー


今回私が提出した短歌は以下の四首でした。

アイスキャンディーの棒で指揮者ごっこして笑う 昨日爪先を濡らした夜空


黒髪の繭を脱ぎ捨て夏の朝一段とばしで大人になるの


木漏れ日の眩しさをシャツに閉じ込めて十七の夏きみに恋した


今までがプロローグだったきっとまだこの先にある運命の朝


顕嵐くんで短歌を詠むことの難しさは、2014年の顕嵐くんで短歌を詠むことは出来るし、2013年の顕嵐くんで短歌を詠むことは出来る、でもそれぞれが断裂してしまって、これまで見てきた阿部顕嵐というひとをまるごと31文字におさめることができないことでした。

今年の夏の顕嵐くんも、去年の夏の顕嵐くんも、一昨年の夏の顕嵐くんも、それぞれまるで別の人のようで、でもどれもちゃんと阿部顕嵐。以前主催のこみねさんがおっしゃっていた、あべあらん夏が来るごとに生まれ変わる説を推したい。


ちゃんとそれぞれの短歌の解説をしようと思っていたのですが、どうにも文章にならず、いろいろこねくり回した結果、長文にできないから31文字にしてるんだろーが!と逆噴射しましたので今回はとくに解説しませんすみません…でも解説の必要無い叙情性ゼロのそのまんまな短歌しか詠んでないから…さ……。


今回私が好きだと思ったのはこれです。

  • たてがみを三つ編みにしてまたほどく 陽に照らされて黄金に光る
  • ねえ僕を飼い慣らしてと囁いたフェネックの君また背が伸びた

今回は新しい試みということで、全ての短歌に返歌をしていただいて、阿部顕嵐を炎にして少しずつ秘密を溶かし合う集団の交換日記みたいですごくときめきました。


次回のお題は「舞台」です。範囲が広すぎて難しいな…観劇厨舞台班厨として頑張りたい。

「担降り」で短歌を読んでみたこと

短歌結社「明星」の第六回歌会に参加させていただきました。今回のお題は「担降り」です。
 

今回私が提出した短歌は以下の四首です。

君だけが世界で一つの恋だった昨日の夜まで嘘じゃなかった
昨日の公演を見て、ああ、この子に降りよう、って揺れていた気持ちが固まった翌朝の、言い訳。

あと少し気付かないままでいたかった いつから「好き」が義務になってた?
10年以上担当だった元担を降りた時にすごく楽になって、勿論今でも元担のことは大好きだけれど、それとは別に殆ど意地で担当でいたんだなぁ、と気付きました。

硝子窓のむこうの君への恋だからさよならを言う術もしらない
こちらから姿は見えるけど、声は届かない君への一方的な恋だから、それを手放すと決めても伝えることも無く、ただその背中を見送るだけというのがアイドルのファンの関係ですよね。

君が笑う、空が砕ける音がした 一目惚れって言ったら笑う?
あなたの笑顔を見て雷にうたれたような衝撃を受けて、あなたのファンになろうと決めました!という単純な告白です。と同時にそれまで当たり前に大好きでいた人を裏切ることになるという意味で空が砕けるというネガティブな言葉遣いをしています。


私は今の担当で二人目ですが、十数年担当をしていた人から初めて担降りしたわりにはあまり抵抗なくするっと降りたことと、根本的にDD(誰でも大好き)なので、担降りに対してそんなに重い怨念があるわけでもなく、今回は空想8割で詠みました。
その所為か、なんだかどれも随分宙ぶらりんになってしまったし、推敲も足りていなかったなぁ、と反省しています。


今回私が好きだなぁ、と思ったのはこちらです。

  • 完璧な笑顔と逆に指先は震えてたから、騙されよう、って
  • 声援を飲み込みやっといまやっとあなたがみえた確かにみえた
  • 君のこと忘れられたら何度でも見つけてみせる優しい光
  • 桃色のジェリービーンズ食べ飽きて次は黄色よ悪びれもせず
  • 過去形にしたくないから殺してよ息をするように愛した君
  • しばらくは上書き保存できそうにないから新規フォルダの準備

次のお題はあらんちゃんとのこと。以前一首だけ詠みましたが、うーん…難しいですね…。